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那覇地方裁判所 平成6年(ワ)667号 判決 1995年11月27日

主文

一  被告は、原告に対し、金一〇三〇万円及びうち金九四〇万円に対し、平成六年九月一〇日から、うち金九〇万円に対し、平成七年五月二七日から、支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告に対し、原告が訴外野底幸子、同野底妙子、同野底宗隆及び同野底明日香に対し、別紙支払金目録記載の金員を支払った場合には、右支払額と同額の金員を支払え。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

主文同旨

第二事案の概要

本件は、トラック上に積まれた鋼管杭をクレーン車で吊り上げて荷降ろしする際、トラックの荷台上で玉掛け作業をした後、トラックから地上に飛び降りようとした被害者に、吊り上げた鋼管杭が落下して当たり、被害者が死亡したという事故について、クレーン車の保有者である原告が、別件訴訟において成立した和解において、被害者の相続人らに支払った損害賠償金等を自動車損害賠償責任保険の保険会社である被告に対し、自動車損害賠償責任法(以下「自賠法」という。)一五条に基づき、保険金の支払いを請求した事案である。

一  当事者間に争いのない事実等

1  原告は、金城レッカーの名称で、クレーン車のリース及び杭打ち等の基礎工事等の仕事をしている者である。

2  原告は、被告との間で、大型特殊自動車(自動車登録番号沖〇〇ろ二二、車台番号LW二五〇L一―六〇九〇の移動式クレーン車、以下「本件クレーン車」という。)について、保険期間を昭和六一年一一月二一日から昭和六三年一二月二一日までとする自動車損害賠償責任保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。

3  訴外石垣港運株式会社の従業員である訴外亡野底均(以下「亡野底」という。)は、次の日時、場所等における事故(以下「本件事故」という。)によって死亡した。

(一) 発生日時 昭和六三年九月一〇日午前一〇時一〇分頃

(二) 発生場所 沖縄県石垣市字大川七三二番地先真地橋橋梁整備工事(以下「本件工事」という。)現場

(三) 加害車両 本件クレーン車

二  争点

1  原告の主張

本件事故は、自賠法三条に規定する「運行によって」、「他人」である亡野底の生命を害した事故である。

他人性が認められる理由は、亡野底は、たまたま本来の業務でない玉掛作業を一時的にしたにすぎず、玉掛作業を仕事としては行っておらず、職務上運転補助者の地位になく、また、本件事故は、亡野底には何らの落ち度もない事案であるから、亡野底を運転補助者と言うことはできないので、他人性を認めることができる。

したがって、原告は、被告に対し、原告が亡野底の相続人らに対し、別訴和解に基づいて支払った損害賠償金合計金一〇三〇万円及び支払いを約した合計金四七〇万円については各支払いをした場合に、自賠法一五条に基づき請求することができる。

亡野底の過失については、仮に、同人に過失が認められるとしても、原告が亡野底の相続人らに支払う損害賠償金は、過失相殺後の金額としても相当である。

2  被告の主張

本件事故が運行によって発生したものであることについては、知らない。亡野底が、本件事故について「他人」であることは否認する。なぜならば、本件事故は、クレーン運転者、玉掛け作業者らが一体となって、鋼管杭の荷降ろし作業を行っていた際の事故であり、亡野底は、荷降ろし作業の手順につきクレーン運転者と相談をし、鋼管杭の玉掛けをし、吊り上げについての合図もしており、亡野底は玉掛けの免許をも有していることからしても、運転補助者としてクレーン運転者と一体となって作業をしていたのであるから、自賠法三条の他人には該当しない。

仮に、原告が自賠法三条の責任を負うとした場合にも、亡野底の過失は大きく、過失相殺後の原告の損害賠償金について、金一五〇〇万円が妥当であるかどうかについては争う。

第三争点に対する判断

一  前記当事者間に争いのない事実等、証拠(甲一号証ないし甲九号証、甲一一号証の一ないし五、甲一二号証ないし甲一五号証、乙第一号証の一ないし三、乙二号証、証人波照間健弘の証人尋問の結果及び原告本人尋問結果)並びに弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。

1  訴外沖縄県は、訴外株式会社三協建設(以下「訴外三協建設」という。)に対し、昭和六三年七月三〇日ころ本件工事を発注し、本件工事を請け負った訴外三協建設は、そのころ訴外山本建設工業こと山本剛(以下「訴外山本」という。)に対し、本件工事の施工を下請けさせた。更に、訴外山本は、同年八月下旬ころ、本件工事のうち杭打ち工事を原告に請け負わさせた。

2  訴外三協建設は、同年八月一一日ころ、訴外株式会社琉金商事(以下「訴外琉金商事」という。)から、本件工事に使用する鋼管杭(以下「本件鋼管杭」という。)を、売主である訴外琉金商事は、本件鋼管杭を本件工事現場まで車で運ぶが本件鋼管杭の荷降ろしはせず、車上に積んだままの状態で買主である訴外三協建設に引き渡し、訴外三協建設が車上から荷降ろしをするという「現場車上渡し」の約定で購入した。

3  本件鋼管杭は、一本につき、長さ約一一メートル七〇センチメートル、直径約五〇センチメートル、厚さ約九ミリメートル、重さ約二トンである。

4  訴外琉金商事は、訴外石垣港運株式会社(以下「訴外石垣港運」という。)に対し、本件鋼管杭を本件工事現場まで運搬するよう請け負わせた。その際、訴外石垣港運の代表取締役である訴外我謝正行は、訴外琉金商事の社員に対し、訴外石垣港運に更に利益が入るように鋼管杭の荷降ろし作業も請け負いたい旨を頼んだが、現場車上渡しの約定があって、荷降ろしは、下請け業者が行うことになっていると言われて断られた。

5  そこで、訴外石垣港運の従業員である亡野底均(昭和三三年七月一五日生、以下「亡野底」という。)は、昭和六三年九月一〇日、本件鋼管杭一〇本を積載した最大積載量約一〇・五トンのトラック(以下「本件トラック」という。)を運転して、本件工事現場へ行った。亡野底は、昭和五九年頃訴外石垣港運に臨時社員として入社し、約一年後正社員となり、大型二種自動車免許を持ち、昭和六〇年一二月一一日ころ、沖縄県労働基準協会の主催する移動式クレーン特別教育講習及び玉掛技能講習をいずれも修了した。

6  原告の従業員であり、玉掛技能講習を修了した訴外波照間健弘(以下「訴外波照間」という。)は、昭和六三年九月九日、原告から本件工事現場において鋼管杭の荷降ろし作業を翌日行うよう指示されて、同月一〇日、原告の保有する本件クレーン車を運転して、本件事故現場へ行った。

7  訴外波照間は、本件工事現場に着いた後、まず、訴外山本の従業員であり、本件工事の現場監督である訴外大浜三千人(以下「訴外大浜」という。)から本件鋼管杭の荷降ろし場所について指示を受け、本件クレーン車を別紙図面一記載クレーン車の位置に設置した。訴外大浜は、本件荷降ろし作業については、本件鋼管杭の荷降ろし場所を指示したのみで、他の指示等は一切しなかったので、訴外波照間は、本件荷降ろし作業を自ら指揮して行うこととした。

8  亡野底は、訴外波照間が本件クレーン車を設置した後、訴外波照間の了解を得て、本件トラックを別紙図面一記載トラックの位置に停車させた。

9  訴外波照間は、本件クレーン車のジブを伸ばし、本件クレーン車の補巻フックを地上近くまで巻き下ろす操作をした後、本件クレーン車に積んであった三組のワイヤーロープの中では、最も長い約六・五メートルの長さの二本一組のワイヤーロープを補巻フックに二本とも掛けた。そして、亡野底が、訴外波照間に対し、最初に降ろす鋼管杭を一番上に積んである西側寄りのものにするのが良いのではないかと提案し、訴外波照間もその方が作業がし易いと判断して、その鋼管杭から降ろすことに決めた。そして、訴外波照間は、亡野底及び訴外山本の従業員である訴外根間清徳(以下「訴外根間」という。)に対し、二本のワイヤーロープの各端に本件鋼管杭を玉掛けをするように指示して本件クレーン車に積んであったフックとシャックルをそれぞれ渡し、亡野底及び訴外根間は、ワイヤーロープの各端にフックとシャックルとを取り付けた。

10  訴外波照間が、本件クレーン車の運転席に戻り、ワイヤーロープの下端部分が最初に荷降ろしをする鋼管杭の中央部分に来るようにジブを移動させ、ワイヤーロープを調整したところ、本件トラック荷台の運転席側前部に登っていた亡野底と本件トラック荷台の後部に登っていた訴外根間とが、それぞれ鋼管杭の両端にワイヤーロープの下端の各フックを引っ掛けた。訴外波照間は、亡野底が鋼管杭を吊り上げても良いという合図をしたと思い、ワイヤーロープが緊張するように巻き上げ操作をしながら、鋼管杭のバランスをとるようにジブの方向及び角度の調整操作も行い、鋼管杭の両端に引っ掛けてあるフックが脱落しないことを確認した上で、まず、鋼管杭を一五センチメートルから二〇センチメートルほど吊り上げたところで巻き上げを一端停止して異常が無いかどうかを確認する地切りという作業をし、異常のないことを確認した後、更に鋼管杭を本件トラックの運転席後部のガード板を越える高さまで巻き上げたとき、それまで本件トラックの荷台上の東側の他の鋼管杭の上に登って様子を見ていた亡野底が吊り上げられた鋼管杭の下をくぐって本件トラックの荷台上の運転席の後部西側から地面に飛び降りようとした。訴外波照間が、吊り上げていた鋼管杭を右旋回させようとしたとき、鋼管杭を吊っていた本件トラック後部側のワイヤーロープが本件クレーン車の補巻フックから外れて鋼管杭後部が地上に落下し、その衝撃によって鋼管杭前部に引っ掛けてあったフックも鋼管杭から外れ、鋼管杭が地上に落下した。亡野底は、鋼管杭が地上に落下する際、身体に鋼管杭が当たり、内蔵破裂によって数時間後死亡した。

11  鋼管杭を吊っていた本件トラック後部側のワイヤーロープが本件クレーン車の補巻フックから外れた原因は、鋼管杭の長さが約一一メートル七〇センチメートルであるのに比し、訴外波照間が鋼管杭を吊り上げるために使用したワイヤーロープの長さは約六・五メートルのもの二本であり、その長さは、合計しても約一三メートルにすぎず、重さ約二トンの鋼管杭を吊り上げた際、補巻フックにおける二本のワイヤーロープが作る角度は約一二〇度となるところ、補巻フックは、別紙図面二記載のとおり、可動式の外れ止めが付いており、補巻フックにおける二本のワイヤーロープの作る角度が広角になったために、ワイヤーロープが右外れ止めを外に押し出してしまい、その部分からワイヤーロープが外れて落ちたというものである。訴外波照間は、本件鋼管杭と同様の長さの鋼管杭を本件事故前に何度もクレーン車で吊り上げたことがあったが、その際には、一本の長さが約一〇メートル程度あるワイヤーロープを使用していたために、本件のような事故を起こしたことはなかった。

したがって、本件事故は、訴外波照間が、本件鋼管杭に適したもっと長いワイヤーロープを使用するか、補巻フック部分にシャクルを取り付けるかすれば、回避できた。

12  亡野底の相続人である妻野底幸子(本件事故当時二九歳)、長女妙子(本件事故当時八歳)、長男宗隆(本件事故当時六歳)、二女明日香(本件事故当日出生)は、平成三年八月二八日、原告、訴外波照間、訴外山本、訴外大浜、訴外三協建設及び訴外沖縄県に対して、本件事故についての損害賠償請求として合計金一億一二〇八万四四八九円(亡野底の逸失利益金六三八八万四四九〇円、葬儀費用金一二〇万円、死亡慰謝料金二〇〇〇万円、相続人ら固有の慰謝料合計金二〇〇〇万円及び弁護士費用金七〇〇万円の合計額)の支払いを求めて那覇地方裁判所石垣支部に訴訟を提起した。

被告は、原告から平成四年四月一五日付けで訴訟告知を受け、同年六月一八日付けで補助参加の申立てをして、亡野底の自賠法三条規定の他人性を争ったが、第九回口頭弁論期日である同年九月三〇日に別紙和解調書記載の当事者間に同調書記載のとおり、和解が成立した。

13  亡野底の昭和六二年における年収は、金二六一万九四三二円であり、昭和六三年一月から死亡までの間の収入は、金一八六万一七五〇円であった。

14  なお、前記各認定に反する訴外波照間の証人尋問の結果部分は、本件事故後約七年の年月を経過した後であることに鑑みると、本件事故の経過の細部における正確性について疑問のあるところであり、これを採用することができない。

二  そこでまず、本件クレーン車による吊り上げ作業中の本件事故が、自賠法三条に規定する「運行によって」生じたものといえるかどうかについて、検討する。

本件事故は、前記認定のとおり、本件クレーン車の固有の装置であるクレーンをその用法に従って操作中に発生した事故であると認められるので、自賠法三条に規定する「運行によって」生じた事故であると解することができる。

三  次に、亡野底が、自賠法三条に規定する「他人」に該当するかどうかを検討する。

前記認定のとおり、亡野底の本件クレーン車による本件鋼管杭の荷降ろし作業への関与は、訴外波照間に対し、最初に降ろす鋼管杭は、本件トラックの荷台の一番上に積んである西側寄りのものにするのが良いのではないかと提案し、訴外波照間もその方が作業がし易いと判断して、その鋼管杭から降ろすことに決め、訴外波照間からワイヤーロープの端に取り付けるように指示されて渡されたフックとシャックルを訴外波照間が既に掛けておいてワイヤーロープの一端に取り付け、鋼管杭の一端にワイヤーロープの下端のフックを引っ掛けたというものである。

なお、訴外波照間は、鋼管杭を巻き上げる際、亡野底が吊り上げても良いという合図をしたと思った旨を本件事故当日付けの司法警察員に対する供述調書(乙二号証)において供述するが、右供述からすると、本件事故当日においてすら、訴外波照間にとって、亡野底が巻き上げの合図をしたかどうかが明確ではなかったというのであり、訴外波照間の昭和六三年九月一七日付け労働基準監督署司法警察員に対する供述調書(甲四号証)においては、訴外波照間は、亡野底と訴外根間とが、ワイヤーロープ下端にフックを鋼管杭に引っ掛けたのを見て、巻き上げ操作を始め、その後地切り作業の際にも異常のないことを自ら確かめて更に巻き上げ操作をした旨を供述しており、また、訴外根間の本件事故当日付けの司法警察員に対する供述調書(甲九号証)においては、亡野底と共に本件トラックの荷台に乗ってクレーン操作を見ていた訴外根間は、亡野底が訴外波照間に合図をしたかどうかはわからない旨供述しており、以上によれば、結局、亡野底は、訴外波照間に対し、作業の安全を勘案してクレーンの巻き上げの時期、方法等について合図をしたとまで認めることはできず、また、訴外波照間は、亡野底が仮に、何らかの合図に類するような動作を行っていたとしても、亡野底のその動作によって巻き上げ作業を行ったのではなく、自ら亡野底及び訴外根間の作業を確認し、自らの判断で巻き上げ作業を行ったものと認めることができる。

一方、前記認定の各事実によれば、本件事故の原因は、鋼管杭の長さに比し、鋼管杭を吊り上げるために使用したワイヤーロープの長さが短すぎたため、シャックルを使用していない補巻フックの外れ止めが外に押し出され、ワイヤーロープが外れたことにあり、専ら、訴外波照間が、本件鋼管杭を吊り上げるに適したワイヤーロープを準備せず、約六・五メートルの長さしかないワイヤーロープを安易に使用し、補巻フックの外れ止めが押し出されることがないかどうかについても全く注意を払わなかったことに原因があり、最初に荷降ろしする鋼管杭を訴外波照間と相談し、訴外波照間の指示どおりにワイヤーロープにフックとシャックルを取り付け、鋼管杭の一端にフックを引っ掛けたにすぎない亡野底の前記行為自体は、本件事故発生の原因とはなっておらず、また、亡野底は、玉掛技能講習を修了した者であったとはいえ、本件作業においては、訴外波照間に対し、訴外波照間のワイヤーロープの選択について指導、監督をすべき義務を負ってはいなかったことが認められる。

以上からすれば、亡野底のクレーン作業への前記関与は、自賠法三条の「他人性」が否定されるような運転補助行為と認めることはできず、亡野底は、本件事故による損害について、自賠法三条で規定する「他人」に当たると解すべきである。

四  そこで、原告が、亡野底の相続人らに対し、賠償すべき損害額について検討する。

前記認定の各事実によると、亡野底の相続人らと原告、訴外山本及び訴外三協建設との間で、既払金を含め、原告、訴外山本及び訴外三協建設が各金一五〇〇万円合計金四五〇〇万円を支払う旨の裁判上の和解が成立したが、訴訟告知を受けて補助参加をしていた被告は、亡野底が自賠法三条にいう他人に該当しない旨主張して責任自体を争っていたものであるから、原告が亡野底の相続人らに支払いを約した合計金一五〇〇万円の損害賠償金が原告の損害賠償責任として妥当であるかどうかを検討する必要がある。

そこで、前記認定の各事実を前提として、亡野底の相続人らの損害額を算出すると、(1)亡野底の逸失利益については、亡野底の昭和六二年の年収、昭六三年の収入からして、金二六一万円×一六・七一一二(本件事故時の亡野底の年齢三〇歳から六七歳まで労働可能年数三七年間に対応するライプニッツ係数)×(一-〇・三)(被扶養者の数を考慮した生活費控除率)=金三〇五三万一三六二円と認められ、(2)死亡慰謝料については、亡野底本人が一家の主柱であったことを考慮して金二二〇〇万円、(3)葬儀費用については、金一〇〇万円、合計で金五一五三万一三六二円となる。

一方、亡野底には、前記認定の各事実によれば、吊り上げた鋼管杭が落下した際に鋼管杭が自らの身体に当たる位置で、本件トラックから飛び降りようとしたものであって、鋼管杭の状況に注意して、鋼管杭の下部に身をおかぬようにして自らの身を守るべき注意義務を怠ったものと認められ、右注意義務違反については、前記認定の本件事故の経過に照らすと、亡野底の本件事故に対する過失割合を二割と認めるのが相当である。そこで、前記損害額から二割を減ずると、亡野底の相続人らが、原告らに対し、賠償請求できる損害額は、金四一二二万五〇八九円となる。したがって、弁護士費用については、右損害額の一割に相当する金四一二万円と認めるのが相当であり、弁護士費用を加えた過失相殺後の損害額は、金四五三四万五〇八九円となる。

しかも、原告は、本件クレーン車の保有者であり、本件事故の直接の加害者である訴外波照間の使用者であり、前記認定の本件事故の原因に鑑みると、原告の責任は、訴外山本及び訴外三協建設に比べ、重いことはあっても軽いことはないと言わざるを得ない。

そうすると原告が本件和解により、亡野底の相続人らに対して支払うこととなった金一五〇〇万円は、原告の損害賠償責任の範囲内の金額であると認められる。

五  よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 近藤宏子)

支払金目録

一 原告が、訴外野底幸子、同野底妙子、同野底宗隆及び同野底明日香に対し、那覇地方裁判所石垣支部平成三年(ワ)第三〇号損害賠償請求事件において成立した和解条項第五項(2)に基づき支払う、平成七年六月以降平成一一年四月までの間、毎月二五日限り、各金一〇万円ずつ合計金四七〇万円。

別紙図面一

別紙図面二

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